背骨が曲がる…その裏で起きている「体の捻れ」
側湾症と聞くと、多くの方が「背骨が曲がっている」「骨が変形している」と思うかもしれません。
でも、実際の現場で体を診ていると、それだけでは説明がつかない痛みや動きの不自由さに気づきます。
たとえば、タオルをねじった状態を思い浮かべてください。
見た目には1か所が大きくねじれていても、実際はそのねじれは上下に分散しながら伝わっていきます。
側湾症もこれと同じように、体全体のつながりの中で“どこか一部”が代償している結果であることが多いのです。
「角度」だけでは見えない。体の動き方を診る大切さ
病院では側湾症を「Cobb角」というレントゲン上の角度で判断することが多いですが、現場ではもう少し“動き”や“姿勢のクセ”を細かく見ていきます。
実際に私が見ているポイントは以下の通りです
• 骨盤の傾き(左右の高さや回旋のズレ)
• 股関節を動かしたときの背骨の連動
• 胸と腰のつなぎ目(胸腰椎移行部)の硬さ
• お尻や肩甲骨が左右どちらに偏っているか
• 肋骨の突出、体幹の倒れやすい方向
このように、背骨単体ではなく“体全体の動きの連携”を見ることが、痛みや動きの制限の本質に近づくカギになります。
「立ちっぱなしがつらい」は、体からのサインかも?
側湾症の方に多いのが「立ち続けると痛い」「片側だけ腰や背中がしんどい」「背もたれに肩が当たる」といった訴えです。
これは単に背骨の角度だけでなく、股関節やお尻の筋肉がうまく使えていない結果として起こっていることもあります。
私の臨床経験では、以下のような体の動きが、症状の軽減につながるヒントになることがあります
• 足を少し後ろに引く → 体の前傾を防ぐ
• 腕を軽く上に持ち上げる → 胸郭が広がり、呼吸がしやすくなる
• お尻を左右どちらかに「当てる」ように座る → 坐骨のバランスを整える
• 軽く体を倒してみる → 側屈の左右差を知るヒントに
こうした“ちょっとした気づき”が、側湾症との付き合い方をやさしく変えてくれます。
さいごに
体は「歪み」よりも「つながり」で見ると見えてくるものがあリマス。
側湾症という言葉の裏には、不安・将来の心配・周囲との違和感など、さまざまな思いがあるかもしれません。
でも、側湾症は“骨の問題”で終わらせてしまうよりも、「どこが代わりに頑張ってくれているんだろう?」「その代償の動きをやさしくほどくには、どこを見ればいいのかな?」
そんな風に、体全体のつながりとして見直すことで、痛みや不安が変わるヒントになることもあるのです。
自分の体を責めるのではなく、労わりながら。
そして、「変わる余地がある」と信じられる時間が、側湾症と向き合ううえでとても大切です。
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